五十嵐正俊 Words

水槽のようなまちで

昨夜の電話は嘘かい
あんなに声にならないほど泣いてたのに
多分いつものように始まって
きっといつものように終わる
僕は君の力になれない
誰も傷つけないboring dance

この時計には針がない
君が叩きつけて壊したときのままだ
あの日から僕の時は止まり
君は自由に廻りはじめた
もう二度と重なり合うことない
文字盤がそう告げてた

いくらもがいても掴めないビルの谷間
かげろうのように
本当の姿を捜せない夢の隙間
この街のように
でも何処に隠れていても君は見つけてしまう

この水槽のようなまちに二人は迷い込み
気づかないうちに泳がされてたのかもしれない
手を伸ばし求めてもただすり抜けてゆく
何を捜しているのさ
暗闇の中で

あたらしい恋を見つけ
あたらしい君を僕に見せるはずなのに
疲れた瞳で僕に笑い悲しい声で君は尋ねた
「宝物は探すものじゃない?」
破れた地図が告げてた

いくらもがいても掴めないビルの谷間
かげろうのように
本当の姿を捜せない夢の隙間
この街のように
でも何処に隠れていても君は見つけてしまう

なんの嘘もない なんの矛盾もない
なんの理由もない
なんの罪もない なんの陰もない
なんの夢も・・・
ふたりが今ここにあること

ただ君のことだけを探し続けている
なくしたものなど数え切れないけど
いま僕の中にあるすべての言葉を
つなぎ合わせてみるのさ
伝えるために