五十嵐正俊 Words

東京

「くじけないで」っていう言葉が
「あきらめないで」っていう言葉が
どうしても無責任に聞こえて
立川の駅ビル、屋上の
手摺りに体をあずけて
見えない海を必死に探してた

自分でもわかってしまうほど僕は変わった
ただ逃げ出すにしても、たとえ逃げ切れたとしても
ひとつ残らずちゃんと今の姿に問いかける

「東京」何をそんなに期待していたの?
もう駄目だって倒れるほどお前は何かやったかい!
「東京」言い訳するにはちょうどいい街だ
僕にはまだ聞こえない

この街に辿り着いた頃は
ためらうことなく答えられた
知らずにいたらどんなに静かだったろう

誰かに心を視られてしまうのが恐くおもえた
ただ意味もわからずに流しつづけていたことを
昨日より一秒前よりはっきりとつかまえている

「東京」与えられることどこかで期待した
闘ってもいないのに癒されたいと誰もが言う
「東京」今夜も誰かが責任をとるだろう
君には聞こえてしまったかい

最終待つ駅のホーム 老婆とランドセルが
交差するおなじ時刻を
切り取っていいのか
こんな風景を

「東京」本当は静かに包み込んでるんだろう?
だけど僕らは気づけずに歩く、強く、弱く、時々肩で息をしながら
この街を・・・